お金を出せば誰でも客ではない

カスタマーハラスメントという言葉が多く出てきました。よく見るニュースは、コンビニエンスストアの店員さんや、鉄道職員に暴言を吐いたり、暴力を振るったり。

これらのニュースを見ていると、住職はため息が出ます

カスタマーハラスメント、いわゆるお客さんが行う迷惑行為のことです。商売をしている人にとっては、「お金を出してくれるお客様は神さま。大切にしないといけない」というのが常識でしたが、今や、お金を出せば誰でも神様というわけではありません商品を売る側にもお客を選ぶ権利はあるのです。お金を払う側が偉い!なんてやっていると、そのうち誰も売ってくれなくなりますよ。

お金を払うという行為は、商品を作ってくれた生産者に感謝し、商品を届けてくれた物流事業者に感謝し、そして店舗で販売してくれた店員さんに感謝して、その対価として支払う行為です。こういった商品が生まれてお金で買えるまでの間に、様々な人々の業があるから商品が買えるのです。深夜でも商品が買えるのは、コンビニエンスストアの店員さんが深夜まで働いてくれるからです。ですから、店員さんに暴言を吐いたり、暴力を振るったりというのは、大変愚かで恥ずかしい行為です。

物の道理(様々な仕組み)を深く知れば知るほど、そのありがたさに気がつきます。カスタマーハラスメント行為をしている人たちは、こういった物の道理を理解していない、いわゆる仏教では「無知」「愚痴:ぐち(愚かな行為)」と言い、無知や愚痴は、三毒の1つで、行為している人も、その影響を受ける人も、共に不幸になるとお釈迦様は説かれています。人間という生き物は「貪り」「怒り・憎しみ」「無知・愚痴」の三毒には特に侵されやすい生き物なので、注意しましょう!とお釈迦様は説かれました。

こういったカスタマーハラスメントを行うお客さんを、店側は出入り禁止にしてよいのです。お金を払えば誰でも客ではないのです。商品が買えなくなれば、いずれ、そのありがたさに気がつき、無知ではなくなるでしょう。そのほうが、カスタマーハラスメント行為を行う人にとっても、良い機会になります。

(記 普陀山妙法寺 正禅住職)